贈与とは、民法に「当事者の一方が自己の財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」(民法549条)と規定されており、個人から個人に財産を無償で与える契約です。
贈与税は、暦年(1月1日から12月31日まで)の間に取得した贈与財産の合計額について課税されます。
贈与には大きく分けて、暦年贈与と相続時精算課税の二種類があります。
課税価格(基礎控除後) | 税率 | 控除額 | 改正後の |
同左の |
改正後の |
同左の |
200万円以下 | 10% | - | 10% | - | 10% | - |
200万円超~300万円以下 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 | 15% | 10万円 |
300万円超~400万円以下 | 20% | 25万円 | 20% | 25万円 | 15% | 10万円 |
400万円超~600万円以下 | 30% | 65万円 | 30% | 65万円 | 20% | 30万円 |
600万円超~1,000万円以下 | 40% | 125万円 | 40% | 125万円 | 30% | 90万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 50% | 225万円 | 45% | 175万円 | 40% | 190万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 50% | 225万円 | 50% | 250万円 | 45% | 265万円 |
3,000万円超~4,500万円以下 | 50% | 225万円 | 55% | 400万円 | 50% | 415万円 |
4,500万円超~ | 50% | 225万円 | 55% | 400万円 | 55% | 640万円 |
※1 平成27年1月1日以降贈与により取得する財産にかかる贈与税について適用します。
※2 直系尊属(父母・祖父母)からの贈与により財産を取得した受贈者(贈与年の1月1日において20歳以上の者に限る)について適用します。
相続時精算課税制度は、父母・祖父母から子・孫への生前贈与を選択できる制度で、60歳以上の父母または祖父母から20歳以上の子・孫への生前贈与を行った場合、子・孫の選択により利用できる制度です。
贈与時には、贈与財産に対する軽減された贈与税を支払い、その後相続時にその贈与財産とその他の相続財産を合計した価額を基に計算した相続税額から、既に支払った贈与税額を控除できます。
この制度には2,500万円の特別控除があり、同一の父母または祖父母からの贈与において限度額に達するまで何回でも控除することができます。つまり、2,500万円までの贈与には贈与税がかからないことになります。
ただし、相続時精算課税制度を利用した場合、贈与税の基礎控除(110万円)は利用はでません。
贈与額が2,500万円を超えた場合には、超えた額に対して一律20%の贈与税が課税されますが、その贈与税は相続時に相続税額から控除され、相続税額が少ない場合は差額が還付されます。
相続時精算課税制度は、選択制なので、例えば父からの贈与については選択するが、母からの贈与には選択しない(暦年贈与を適用する)ことができます。ただし、一度選択したら取り消すことはできません。
平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。
住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期を「消費税率10%が適用される場合」とそれ以外に区分し、更に「省エネ住宅等の場合」とそれ以外に区分し、それぞれ非課税限度額が異なります。
婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できます。
(注)配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。
なお、適用を受けるためには、必要な書類を添付して贈与税の申告をすることが必要です。
相続対策として養子縁組を行うことがあります。
例えば、孫を養子にするケースや長男の妻を養子にするケースがあります。
以下のような、メリット・デメリットがありますので、事前の検討が必要です。
相続税は、原則として、法定期限までに金銭で納付することになっています。
しかし、納税額を金銭で用意することが困難な場合もあります。
相続財産に現預金や換金できる有価証券等が少なく、土地や建物などの不動産が多い場合には、このようなケースが多くあります。このような事態にならないよう納税資金対策を行うことをお勧めします。